日本民藝館で思うこと
東京にある日本民藝館に行ってきました。
日本民藝館は民芸運動に力を注いだ柳宗悦によって創設されました。
民芸運動では、柳宗悦らが日本のさまざまな日用品などの無名の職人による
民芸的工芸品について美を見出し、そういった考えを世に広めました。
この運動から民芸という言葉が生まれていたりもします。
今回、日本民藝館に行ったのが初めてだったのですが、ある意味ショックを
受けました。
日本民藝館に展示されている工芸品を見て、
自分は日用品という感じがまったくしないということに驚いたのです。
江戸時代の日用品も展示されているのですから、
時代が違うのだから当たり前といえば当たり前なのかもしれません。
しかし、柳宗悦らが民芸運動を通して守りたかったことが現代では
ほとんど受け継ぐことができていないのではないかということを
感じました。
日本民藝館という存在が時代に取り残されるようで、
なんだかさみしい気持ちになりました。
今度は、自分たちが動くときだと決意しました。
禅と職人について
禅と職人について最近よく考えます。
禅というものについてまだ十分に理解していない部分があり、
一部間違った認識があるかもしれませんが、
大目に見ていただけるとありがたいです。
禅の基本的な修行法として坐禅があります。
坐禅ついてとても簡単にいうと、姿勢を正して、心を無にする精神修行です。
禅宗の一派である曹洞宗には只管打坐という“ただひたすらに坐禅すること”
をさす言葉があります。
“ただひたすらに坐禅すること”と
ものづくりの職人が“ただひたすらにモノをつくること”
このふたつの言葉には近いものがあるのではないかと感じています
職人はそう簡単には一人前にはなれません。
何年も修行を積む必要があります。
工芸の世界の職人はまとまった数のモノをひとつとして狂いなくつくらなけ
ればなりません。
熟練の職人になると、身体が勝手に動くという感覚になるのではないかと思
います。
そして、心が無に近い状態になるのではないかと思います。
ようするに、職人というひとたちは仕事を通して、坐禅と同じような精神
修行を行っているのではないかと思うのです。
日本の禅文化を世界に広く知らしめた鈴木大拙という方がいます。
民藝運動で柳宗悦は無名の職人がつくった日用的な工芸品の中に美を見出し
世に広めました。
こういうことから禅と工芸の職人に間にはなにか精神的なつながりがあるよ
うな気がします。